歯ぎしり・食いしばりとは?
歯ぎしり・食いしばりは、就寝中などの無意識下で行われることが多い症状です。上下の歯をこすり合わせる動きを「歯ぎしり」、上下の歯を強く噛みしめることを「食いしばり」といいます。歯ぎしりや食いしばりは歯や顎関節(顎の関節)に大きな負担をかけてしまいます。通常の噛む力は自分の体重程度の力ですが、歯ぎしり・食いしばりの時にかかる力は人によっては普段の数倍〜10倍の力がかかっていることがあります。毎日歯に過度な力がかかっていると歯が破損したり、顎に痛みが生じたり、頭痛や肩こり、めまいなど全身にさまざまな影響を及ぼします。無意識下で行われるため、自覚がない方も多くいらっしゃいます。朝起きた時に顎が痛い方や、家族に歯ぎしりを指摘されたことのある方はなるべく早めにご相談ください。
歯ぎしり・食いしばりが改善しないことによる問題
歯の破損
歯ぎしりや食いしばりで毎日歯に大きな力がかかると、歯がすり減ったり折れたりすることがあります。また詰め物や被せ物も割れてしまうことがあります。そして破損した詰め物や被せ物は、汚れや細菌が溜まりやすく、むし歯や歯周病を引き起こす可能性が高くなります。
歯周病の悪化
歯に強い力が加わり続けると、歯と歯茎の間がくさび状にえぐれることがあります。歯茎や歯槽骨へのダメージによって歯周病が悪化したり、知覚過敏になったり、さまざまな悪影響があります。
顎関節症
歯ぎしりや食いしばりによって顎関節にも大きな負担がかかるため、痛みが生じたり、かたいものが噛めなくなったり、口を大きく開けることができなくなったりします。
全身への悪影響
歯ぎしりや食いしばりによって寝ている間ずっと筋肉が緊張しているため、頭痛や肩こり、腰痛、めまいなどの症状が出ることがあります。また全身のバランスが悪くなりさまざまな不調を招く恐れがあります。/p>
不眠の原因になる
歯ぎしりや食いしばりによって睡眠中も脱力できないため、疲れが取れにくく、深い眠りができず不眠になることもあります。睡眠時無呼吸症候群の人も、歯ぎしりが多い傾向があるので余計に疲れが取れにくいです。
歯並びやかみ合わせに影響
強い力がかかり続けることで歯が動き、歯並びやかみ合わせが悪くなることがあります。
歯ぎしり・食いしばりの治療方法
マウスピース
マウスピースを用いて歯ぎしり・食いしばりの治療を行っています。市販のものもありますが、ご自身の歯型にフィットしたマウスピースを使用しないと、症状をさらに悪化させてしまうことがあります。歯科医院できちんと自分の歯型に合ったものを作製し、歯ぎしりや食いしばりを改善しましょう。就寝時はマウスピースがクッションの役割をするため、力が分散し歯と顎関節をリラックスさせることができます。一人ひとりの症状や歯並び、かみ合わせに合わせてハードタイプ・ソフトタイプの材質や厚みを変え、オーダーメイドのマウスピースを作製します。また、顎関節症の方には、就寝時だけでなく日中も使用していただく場合もあります。
かみ合わせの調整
むし歯や歯の欠損、詰め物・被せ物の不調があれば治療をし、かみ合わせを改善します。左右の歯でバランスよく噛めていないと顎関節に大きな負担がかかってしまい、顎関節症を引き起こすだけでなく、肩こりやめまい、頭痛などの症状も引き起こすことがあります。
歯列矯正
骨格による不正咬合や歯並びの乱れがある場合には歯列矯正によって歯並びを整えます。歯列矯正によって歯にかかる力のバランスを整えます。ただし、歯列矯正をしても歯ぎしりや食いしばりがなくならない場合もあります。